遺産分割協議がまとまらない・間に合わないときどうする? 方法・やり方・相続税申告のまとめ


こんにちは、内田正剛@うちだ会計事務所です。親族が亡くなったら遺産分割協議が行われますが、まとまらない・間に合わないことはしばしば起こります。そんな時どうするのか? どんな方法・やり方があって、相続税申告はどうするのかをまとめました。

遺産分割協議

要は、親族が亡くなって遺産を相続するときに、どうやって分けるかを相続する人全員で話し合って決めることをいいます。

万が一、まとまらなかったら家庭裁判所で遺産を分けます。

遺産分割協議のやり方は?

3つの方法があります。

遺産分割協議

現物を分ける(現物分割)

どの遺産を誰が相続するかを、決めていく方法をいいます。

例えば家を兄と弟の共有にしたりすると、家を売るときにいろいろ難しいことが生じますが、遺産を1つずつ分けていけば、財産の持ち主が一人一人になり、処分がしやすくなります。

お金に換えて分割する(換価分割)

遺産を売ってお金に換えて、お金を相続人それぞれが分け合うという方法です。

故人にしか価値を感じない骨董品や空き家など、相続人が望まない遺産の場合に有効ですが、故人への思い入れなどがあって、実際にこの方法が用いられることは少数です。

公平に分割するためお金を払う(代償分割)

遺族間での不公平感をなくすために、価値の高い財産を相続した人が、価値の低い財産を相続した人へ、不足金額を払う方法です。

公平感・処分しやすさを考えると一番いい方法ですが、価値の高い財産を相続した人が「お金」を持っていないと、実行しにくい方法でもあります。

遺産分割協議が間に合わない時はどうする?

相続税申告のスケジュールは?

故人が亡くなってから、10ヶ月以内に相続税の申告をしないといけません。

なので通常は、それまでに遺産分割協議をして、分割した結果をもとに申告書を作成・提出するのが通常の流れです。

相続のスケジュール

分割しないまま申告できるけど、デメリットあり!

どんなデメリットがあるの?

遺産分割協議が間に合わないからといって無申告でいると、ペナルティが課されてしまいます。

ペナルティを避けるためには、遺産を分割しないまま申告をすることが考えられます。

具体的には、法律で定められた割合で分割した前提で申告する方法です。

「なんだ、方法あるじゃん!」と思うかもしれませんが、多くの方が利用する相続税申告の特典「配偶者の税額軽減」「小規模宅地の特例」などが使えなくなるのです。

デメリットを、具体的に解説していきます。

1. 配偶者の税額軽減が使えない

夫が生前に蓄えた財産は妻の貢献が大きいとの判断で、妻に対してだけ「遺産の1億6千万円までは相続税を課税しません」という特典です。

これが使えないのは、非常に痛いです。

2. 小規模宅地の特例が使えない

資産家ではない多くの家庭では、主な遺産が小規模な自宅であり、相続税の負担が大きくなりすぎるとの判断で設けられた、相続税を安くする特典です。

これも同様に、是非とも使いたい制度なので、使えないのは痛いです。

特典は二度と使えないの?

遺産の分割をせずに相続税の申告をしたからといって、二度と特典が使えなくなるわけではありません。

具体的には相続税の申告書を提出するときに、「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に提出すれば、後日特典を利用することは可能です。

申告期限後3年以内の分割見込書

申告期限後3年以内の分割見込書

但し、以下の期限を守らないと、その権利も消滅してしまいます。

  • 相続税の申告期限(亡くなってから10ヶ月以内)から、3年以内に遺産分割を決定
  • 分割してから4ヶ月以内に、更正の請求(=「特典受けたいです!」と税務署に言う手続)をする

まだまとまっていなかったら、2ヶ月は延長できます

【関連記事:法定相続割合】

相続順位(順番)はどうなる? 法定相続人・代襲相続は?

おすすめしない理由

このように、分割せずに仮の数値で相続税の申告はできるのですが、おすすめはしません。

遺産の全容が見えないからといって、正しくないであろう金額で申告をしても、税務署から見れば、「税務調査へ来てね!」と言っているいるようにしか見えないからです。

遺産分割協議がまとまらない時はどうする?

遺産分割協議がどうしてもまとまらない時は、2つの方法があるので、順に紹介していきます。

遺産分割協議の進め方

調停(家庭裁判所の力を借りる1)

自分以外の相続人を相手方として、家庭裁判所へ「調停」をお願いします。

例えば、父が亡くなって、相続人が母・兄・自分の場合、母と兄を相手方にするイメージです。

「調停」の意味は、簡単に言うと、家庭裁判所が遺族の話し合いを助ける制度です。

遺族から関係資料を提出してもらったり、遺産の鑑定を行ったりして事情を勘案して、遺族が希望する分割の落とし所を探ったり、助言して、最終的に合意へ持っていくのです。

調停の結果、協議がまとまったら、「調停調書」と言う書類が作成されます。

調停調書の効力は確定した判決と同じなので、仮に決まった通りに分割しないと、強制執行ができます。

なお調停にあたっては、家庭裁判所でもらえる用紙へ必要な情報を書き込めばいいのですが、例えば以下のような資料も一緒に提出しないといけません。

  • 遺産目録
  • 被相続人(亡くなった人のこと)の除籍謄本
  • 相続人(遺族のこと)の戸籍謄本など

審判(家庭裁判所の力を借りる2)

審判

調停がまとまらなかったら、「審判」と言う制度を使う意思表示をしたとみなされます。

「審判」は、調停の時と違って、裁判所の「審判官」という人が主体的に動きます。

審判官が、遺産をめぐる事実や範囲・評価をチェックして、遺族(相続人)が相続する財産を決定します。

審判の結果は強制力があるので、納得できなくても従わないといけません。

どうしても納得できないなら、2週間以内に高等裁判所へ不服申立てという手続きをとります。

不服申立てをしなかったら、審判の内容で確定するので、決まった通りに分割しなければ、強制執行される可能性もあります。

まとめ

お金や財産が絡む問題を話し合いで解決するのは、双方が大人でないと難しいです。

とはいえ、家庭裁判所へ持ち込んでも、自分たちの思い通りになるわけではないということを、念頭に置いておきましょう。

ひとり起業家に欠かせない税金やブログ集客についての情報を、日々綴っていきます。


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